今回は料理を知的財産権で保護できるかについて説明します。
「レシピ(調理方法)を特許にできますか?」、「レシピや料理名は商標登録できますか?」といった内容のご相談をよく受けます。
レシピと特許についてですが、新規性や進歩性等の要件を満たせば、特許の保護対象になり得ます。
過去の有名な特許の例としては、「卵豆腐を油で揚げてなる揚げ出し卵豆腐」があります(権利は消滅済み)。
但し、気を付けなければならないのは、特許侵害が成立するためには、第三者が「業として」特許発明を実施する必要があります。
例えば、個人が「卵豆腐を油で揚げてなる揚げ出し卵豆腐」を自宅で作って食べる行為は「業として(≒商売目的として)」には該当しないため、特許権侵害は成立しません。
そもそもそのような行為を特許権者が見つけるのはきわめて困難です。
次にレシピと商標についてですが、残念ながられレシピは商標の保護対象ではありません。
商標は商品や役務(サービス)の出所を示す識別標識として機能するものであって、レシピは性質的に異なります。
料理名についても、商標法上の直接的な保護は受けられません。
但し実務上は、料理名を「飲食物の提供」として商標登録することや、料理名を「商品」と捉えて商標登録する企業・事業者が多く存在します。
例えば、福岡では「ぺぺたま」という有名なパスタ料理を店内で提供する飲食店がありますが、「飲食物の提供」を指定して商標登録されています(登録上の表記は「ぺぺたま。」)。
福岡では「ラーソーメン」という有名なつけ麺を店内で提供する飲食店がありますが、「麺類」、「麺類を主とする飲食物の提供」等を指定して商標登録されています。
商標法上、商品は「市場で流通する有体動産」といわれており、店内で提供される料理は市場で流通しないため商品に該当しません。
その一方で、店頭販売する持ち帰り用の料理は「商品」に該当し、商標法上の直接的な保護を受けることができます。