VOL.26 「社名」と商標について

VOL.26 「社名」と商標について

2021年09月17日 【

今回は社名と商標についてお話します。

「株式会社を設立するにあたり、社名は商標登録する必要がありますか?」という質問をよく受けます。

法務局で登記が認められれば商標登録しなくてもよい、と思っていらっしゃる方が多いですが、正確ではありません。登記は簡単に言うと、同一の住所に同一の社名がなければ登記が認められます。それ故、全国規模でみると同じ社名が複数存在するケースが起こり得ます。その一方で、商標権は日本全国で効力を生じるものであり、同一又は類似する商品・役務について、同一又は類似するネーミング・ロゴを無断で使用する第三者に対し、差し止め請求や損害賠償を請求することができる強力な権利です。例えば、福岡県に所在するA社が「リスク法務実務研究」というネーミングを、「知識の教授」や「セミナーの企画・運営・開催」を指定して商標権を取得したとします。A社とは関係のない東京都に所在のB社が「リスク法務実務研究会」というネーミングでセミナーを開いた場合、A社はB社に対して「勝手にネーミングを使用しないでくれ」と主張することができます。

 

本題に戻り、「社名を商標登録する必要があるか?」についてですが、私個人の考えとしては、必要でないケースもあり得るが、出来れば商標登録することをお勧めしております。

商標は商品や役務の出所を表示する機能を有していますが、法人が取引先・需要者を取引対象とする以上、社名はこの機能を実質的に有しているケースが多いと考えられます。また、「株式会社〇△×」から株式会社を除いた「〇△×」を商品名やサービス名にするケースも多いです。CM等の広告を積極的に行っている殆どの企業は社名「株式会社〇〇」を商標登録しております。また、第三者が同一の商品・役務分野で同一の社名を商標登録していると、不安な日々を送ることにもなりかねません。

とはいえ、社名を商標的に使用していない場合(その予定もない場合)は、必ずしも商標登録する必要はありません。

この点についての判断は高度な専門性を要するため、お近くの弁理士にご相談されることをお勧めします。

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